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弘前大学出版会

【hm032】生きることに責任はあるのか 現象学的倫理学への試み
生きることに責任はあるのか 現象学的倫理学への試み
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税込み価格:2,750円 送料別

生きることに責任が求められることなど、あるのだろうか。
 日々の生活に追われるなかで、思い浮かぶことのない問いであろう。しかし、この問いを私たちから投げかけうる人びとがいる。哲学者のことである。本書では、とりわけエドムント・フッサールに始まる「現象学運動」を形作った哲学者たちに、〈生と責任〉をめぐる倫理学的思考の消息をたずねた。
 その名を連ねれば、フッサールはもちろん、マックス・シェーラーやマルティン・ハイデガーである。つづいて、彼らのドイツ現象学を吸収したモーリス・メルロ=ポンティやエマニュエル・レヴィナスといったフランスの現象学者たち。これら二つの現象学から多くを学んだ日本の哲学者――西田幾太郎、田辺元、和辻哲郎、三木清、九鬼周造も…である。
 本書を読まれるみなさんに、彼らの現象学的倫理学がそれぞれに輝き、一つの星座を織りなして見えたなら、本書の執筆者一同、これ以上の喜びはない。

第?部 西欧の現象学的倫理学
第1章 ケアする存在の自己責任−E・フッサールの『改造』論文における「革新」の倫理学…吉川 孝
第2章 M・シェーラーの徳理論と現象学的経験−カントと現代のあいだ…宮村 悠介
第3章 責めの存在論的現象学的分析による道徳的懐疑の克服−M・ハイデガー『存在と時間』第二篇における議論…池田 喬
第4章 間ロゴスと応答可能性−M・メルロ=ポンティ現象学による倫理学序説…大森 史博
第5章 E・レヴィナスと場所のエティカ−〈汝、殺すなかれ〉再考…横地 徳広
第?部 日本の現象学的倫理学
第6章 他者との共感−西田幾多郎とM・シェーラーの現象学的倫理学…張 政遠
第7章 世界・国家・懺悔−田辺哲学の現象学的解釈…吉川 孝
第8章 『構想力の論理』と三木清の実践哲学…池田 準
第9章 和辻哲郎とM・ハイデガー−「ポリス的人間」と「隠されたる現象」の倫理…池田 喬
第10章 九鬼周造と〈いき〉のエティカ−善美なる生を求めて…横地 徳広
終章 いまなぜ現象学的倫理学なのか?−あとがきに代えて…吉川 孝

人文科学

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