*

弘前大学出版会

【ss029】高葛藤紛争における子の監護権
高葛藤紛争における子の監護権
配達日指定:不可
税込み価格:2,860円 送料別

裁判所が取り扱う面会交流紛争の法運用はどうあるべきか。これが本書の焦点である。家裁の弁護士実務で直面する課題は、時代の大きな動向と混迷を背景とする。高葛藤下の面会交流紛争が家裁で多発している。子どもと離別した父の不平の根は、往々にして「多くの時間を子どもと過ごしたいという親の単純な要求ではなく大人の絶望にある」(ウォラースタイン)という言葉が切実に迫る。一方、高葛藤ゆえに、子どもの同居母が受忍する面会交流の感情的役務には限界があり、これも切実である。新自由主義の価値感による政治の苛酷さは、市民レベルで国家に対する社会的信頼感を希薄化している。国家の一翼を担う家裁が「子の福祉」を教科書のように唱えても市民は納得しない。最近の5年で全国の家裁を席巻してしまった面会交流原則的実施方針の教条崇拝はいずれ大きな矛盾に直面する予感を生起する。本書による問題提起はその糸口である。

第1章 高葛藤化する面会交流紛争の課題
第2章 手続保障論の課題
第3章 子の引渡手続論の課題
第4章 (補論)時代の要求としての子どもの養護
終 章 子の監護をめぐる高葛藤紛争解決の理念と手続に関する私見の総括

社会科学

前に戻る