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弘前大学出版会

【ss005】ローカル歌謡の人類学 −パプアニューギニア都市周辺村落における現代音楽の聴取と民衆意識−
ローカル歌謡の人類学 −パプアニューギニア都市周辺村落における現代音楽の聴取と民衆意識−
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第6回 日本オセアニア学会賞受賞(2007年)

 独立以降のパプアニューギニアに生じた、新しい民衆意識「グラスルーツ」。かれらは自らの相貌に村落の風景を重ね合わせながら、自文化と他文化を切り分けてきた。グラスルーツが好むダンス向けの歌謡は、たくさんの村の小さな現地語で歌われるために、すべてを聞き取るのが難しい。しかし、聴衆はこのばらばらな音の氾濫に身を浸しながら、親しい者への愛着が感受できるような声の要素を拾い聞き、歌声の主を想像の村落の風景に再構成し、そこに自らの居場所を見出している。これが、ダンス歌謡をパプアニューギニアに生きる「われわれの歌」として聞く想像力の回路である。この回路を通じて、オーストラリアなどの外国の音楽と峻別されつつ、ローカルの歌謡と民衆意識が再生産されている。丹念なフィールドワークから現地の人の聴取行動を掘り起こし、文化人類学と民族音楽学の両面から切り込んだ民族誌。現代オセアニア文化を知りたい人にも必読の書。

社会科学

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